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2023年12月2日

12. 1 オランダの教育制度

オランダの教育制度

 

   オランダの教育制度は、日本に比べるとかなり複雑な構成になってい ます。

 義務教育は 11 年間(5~16 歳)で、教育の種類ではなく、年齢で定めら れており、初等教育と中等教育にまたがっています。学校の種類として は、公立学校の他に、特殊学校(Bijzonder onderwijs)と呼ばれる学校 があります。特殊学校は主に2つに分かれ、一つは宗派学校(Confessioneelonderwijs)、もうひとつが一般特殊学校(Algemeen bijzonderonderwijs)と呼ばれるもので、モンテッソーリやイエナプランがこれにあたります。オランダでは、学区制はなく、希望の学校に申し込むことはできますが、最近では、希望者の多い学校などは、学校の提示する条件を満たさなくては入学できない場合があります。

(インターナショナルスクールや日本人学校のような 外国人学校については後述の項をご参照下さい。)

  義務教育の間、授業料は無料ですが、修学旅行や遠足など通常の授業 外の活動や催物の費用、特別教材費として保護者負担分(ouderbijdrage) があります。週 5 日制(土日休み)で、課目は日本の場合とほぼ同じです が、中等教育では職業教育の充実が特色として挙げられます。 

 

 基礎教育(basisonderwijs)と呼ばれる初等教育は 8 年間(4~12 歳)で、 日本の幼稚園に当たる 2 年間(幼児クラス-kleuterklas)と小学校 6 年間 を併せたものです。最初の 1 年間(4 歳)は義務教育に含まれませんが、 多くの場合 4 歳から始めます。

  中等教育(Voortgezet onderwijs)はいくつかのコースに分かれています。 子どもの持っている才能や、初等教育期間に学んだ成果を示す普段の成 績を基にして、学校がどのコースに進んだらよいかのアドバイスを本人 と保護者にします。2015 年からは、コースを決めるには学

校のアドイスが重要になりました。このアドバイスを基に、本人と保護者は、自分 にあった中・高等学校を選び、進む学校の入学許可を得ます。 2015 年から最終学年(groep 8)の全ての児童は、全国共通修了テスト (eindtoets)を必ず受けることになりました。オランダでの滞在

期間が短く オランダ語の知識が充分でない子ども等には免除のシステムがあります。

 

◆大学進学コース (VWO: Voorbereidend Wetenschappelijk Onderwijs)-6 年制

◆高等一般教育コース (HAVO:Hoger Algemeen Voortgezet Onderwijs)-5 年制 

◆中等職業準備教育コース (VMBO:Voorbereidend Middelbaar Beroepsonderwijs)-4 年制

  この VMBO コースは、1998 年度までは中等一般教育(MAVO)と、職業準 備教育(VBO)に分

かれていたコースを統合したもので、2 年間の共通授 業(basisvorming)の後、より理論に

重点を置くか実践に重点を置くか によって、また 4 つのサブコースに分かれます。

多くの場合は何種類かのコースを置く総合学校(Scholengemeenschap)で、最 初の 1 年あるいは 2 年間の基礎期間(brugklas)を経てから、改めて進路を決め る場合が多いようです。場合によっては学校を変わることもあります。 

 

 前記の各コースは、どれも最初の 4 年間に当たる 16 歳までは義務教育で す。16 歳で基本資格(startkwalificatie)を取得していない場合は、18 歳にな るまでは学校に登録し教育を受けることが義務づけられています。  

 一般的には、VMBO を選択して、後に MBO(中等職業学校)に進み、 警察官、看護師、美容師などの資格を得て社会人になるケースが多いよ うです。HAVO(高等一般教育)を終了して HBO(高等職業学校)に進 み、小学校教師、上級看護師、技術者の資格を得て社会人になる場合も あります。

  6 年制の VWO 終了試験を通ると、大学入学資格が与えられます。何れ のコースも最終試験は全国共通の国家試験で、各学校が独自に実施する 卒業試験ではありません。  オランダの場合は、高等教育として考えられるのは、大学(Universiteit)と高等職業学校(HBO: HogerBeroepsonderwijs)です。過度の学歴偏重の傾向 はなく、実践指向だということがうかがえます。しかし、一方では職業等の資格(ディプロマ)取得 によって職種や給与が違ってくるため、社会に出てからも、更に他の資 格を得るために受講したり夜間学校へ通う例が少なくありません。

  オランダには国公立、私立合わせて 13 の大学があります。

  大学を卒業した場合、名刺や宛名に次のようなタイトルをつけます。

  Drs. (doctorandus): 修士   

  Mr. (meester): 法学修士 

  Ir. (ingenieur): 工学修士

  Dr. (doctor): 博士

  Prof. (professor): 教授

  Ing.(ingenieur): 工学士(HBO の工学部門卒業) 

 

学校の長期休暇

 オランダの学校は、地方によって長期休暇の時期をずらしています。 

北部(Amsterdam 等)中部(Rotterdam, Den Haag, Utrecht 等)南部(Brabant, Limburg,

Zeeland 州等)の3地方、小学校と中等、高等学校では若干のずれがあり、 これは毎年変わります。 下記の蘭政府サイト(蘭語)で確認できます。

https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/schoolvakanties  

 

長期休暇時以外の休暇申請   オランダでは、学校の休暇期間以外の時期に短期・長期の欠席をする 場合、いくつかの決まりごとがあります。子供の親族の慶弔ごとに関し ては校長による承認によって休日を申請できますが、保護者の都合によ る休暇の場合には、年間に 1 回のみ最長 10 日間までです。

保護者の勤務先の都合により、学校の長期休暇(夏休みなど)中に休暇 を取得できないため、学校の休暇中以外の時期に長期の休暇を申請したい場合には、職場の上司からの申請書が必要となります。ただし、新学 期(夏休み終了後)の最初の数週間は、学校が始まって一番重要な時期 であるため、休暇を申請しても許可がでません。 詳細については、各学校の校長と相談します。下記のオランダ政府広報 サイトもご参考ください。 

オランダ政府広報サイト

https://www.government.nl/topics/compulsory-school-attendance/exemptions-from-compulsory-school-attendance 

2023年12月2日