4.3. 出産・新生児ケア・予防接種

＜オランダでの妊娠、出産 (bevalling)＞

ホームドクターでは、妊娠の診断は行いません。妊娠が分かった場合、希望によって出生前診断があるので、

妊娠が分かり次第速やかにまず助産師院または産婦人科に受診する必要があります。病院・産婦人科での妊婦健診を希望する場合は、ホームドクターから紹介状を書いてもらい、産科外来の予約を取ります。また、産褥期母子在宅ケア(kraamzorg、後述)も早めに申込んだ方が良いでしょう。

オランダでは自宅出産か、病院での出産（正常分娩で、母子共に異常がなければ、数時間以内に退院）か選びます。正常な妊娠経過の場合は助産師が、また不妊治療後の妊娠や何らかの問題がある際には産科医が担当します。自宅出産の場合（オランダでは妊婦の約半数が自宅出産希望）には、助産師が定期健診と出産の介助を行います。病院出産の場合は、定期健診を助産師のもとでするか、または産科医にするかを選びます。

助産師のもとで検診を受けていて、何らかの異常兆候が見られたときは、助産師と病院は連携システムをとっているので、必要に応じて病院で検診を受け、産科医管理となることがあります。

病院出産の場合、母子の経過が良好であれば通常、数時間ほどで病院で看護を受け、その後自宅に戻ると、母子の産後のケア（kraamzorg）は産褥看護師(kraamverpleegkundige)が行います。

その他に，産後に治療のために長期入院した後も自宅でのケアが必要と認められると、日数が延長される特例基準があります。オランダの妊娠・出産に関する情報としては、下記の日本語サイトをご参照ください。

＊各地の母子在宅ケア(Kraamzorg)の連絡先：http://www.kraamzorg.nl/

＊日本人の産後ケア、訪問看護情報

• www.aziatischekraamverzorging.nl
• https://sites.google.com/site/seitaimama/home

＜新生児ケア＞

居住地区で新生児の出生届を提出すると（出生後３日以内）、予防接種登録部門を通じて地区保健師 (wijkverpleegkundige)に連絡が行き、保健師から家庭訪問の連絡があります。この第１回目の訪問は生後

5~7 日目で P.K.U.（先天性代謝異常の有無の検査）、C.H.T.（先天性甲状腺機能低下症＝クレチン病の検査）

を行ないます。長期入院していた場合は病院で検査を済ませている場合もあります。原則として、４歳まで

の乳幼児健診は consultatiebureau（以下 CB＝小児保健所）で行われます。保健師との第２回目の面談時に、新生児、家族のデータ、妊娠から出産、産後の状態、分娩・出生時の病院産科医または助産師による報告などが CB の個人ファイルに記載され、その後の健診結果も同ファイルに記録されます。登録後、CB との予約日が決められ、最初の CB での健診時に日本の母子手帳に当たる成長記録帳(Groeiboek 子供の記録のみを記載)を受け取ります。次回の予約は健診時に決めるか、後日、通知されます。各地の CB には連絡時間帯が設けてあり、予約の変更や個々の相談を受け付けています。また、オランダ国内で引越しする場合は、その旨を伝えると転居先の CB に今までの記録が転送されます。

＜小児の予防接種＞オランダでは、４歳までの予防接種はCB、４歳以上は保健所(GGD)で現在は次のように実施されています。

予告なしに変更される可能性もありますのでご注意ください。

• 生後 6-9 週 ： DKTP 、HB（1 回目）、Hib ＋Pneu
• 生後 3 カ月： DKTP 、HB（2 回目）、Hib
• 生後 4 カ月： DKTP 、HB（3 回目）、 Hib ＋Pneu
• 生後 10-11 カ月： DKTP 、HB（4 回目）、Hib ＋Pneu
• 生後 14 カ月： BMR（1 回目）+ MenC
• 4 歳：DKTP（5 回目）
• 9 歳：DTP （6 回目）＋BMR（2 回目）
• 12 歳（女児）：HPV（子宮頸がん予防ワクチン）６か月後に 2 回めを接種
• D=Difterie （ジフテリア）
• K=Kinkhoest （百日咳）
• T=Tetanus （破傷風）
• P=Polio（ポリオ）
• Hib=Haemophilus influenzae type b (b 型インフルエンザ桿菌)
• HB=Hepatitis B （B 型肝炎）
• B=Bof (流行性耳下腺炎・おたふくかぜ）
• M=Mazelen（麻疹・はしか）
• R=Rode Hond（風疹・三日ばしか）
• Men C=Meningitis C （髄膜炎タイプ C）
• Pneu=Pneumokokken（肺炎レンサ球菌）

 

オランダの予防接種は日本と異なり、全国規模でスケジュールが統一されています。場合によってはスケジュール変更は可能です。その場合は CB/GGD あるいはホームドクターと相談して下さい。ポリオは通常日本の三種混合ワクチンにあたるDKTと混ぜて四種混合ワクチンとして接種されます。BMRは日本の MMR ワクチンに当たりますが、接種回数は２回接種となっています。Hib は b 型インフルエンザ桿菌によって起こる化膿性髄膜炎を予防するためのワクチンです。

◆ 日本から転入してきた児童の予防接種居住地区に転入・住民登録をすると予防接種登録部門より該当する子供の予防接種の書類が郵送されてきます。４歳未満の子供の場合、この通知書類に必要事項を記入して返送すると CB との予約の連絡がきます。通知がない場合は、居住地区の CB に連絡します。

＊母子衛生研究会のサイト www.mcfh.or.jp   外国の母子保健情報や予防接種などの情報提供。

＊「海外いろは」（海外赴任・留学・出張の総合情報サイト）http://www.faminet.co.jp/d_guide/view/84