5.2 支払い手段
デビットカード(Debit Card)
デビットカードは、ATMでの現金引出し(後述)に加え、店舗等で支払いにも使用できるカードで、広く「Bank card」「PIN card」とも呼ばれています。コロナ禍を経てキャッシュレス化が進んだオランダでは、商店・飲食店から交通機関やタクシーの料金、公共トイレの入場料に至るまで、デビットカードによる決済が主流となりました。現金決済の場面は多くなく、現金お断りのお店も散見されるほどです。
店舗の端末にタッチすることで決済されますが、一定回数/一定金額を超えるとPINコード(暗証番号)の入力が求められます。決済すると即時に口座残高から引き落とされ、口座に紐付けてある電話番号宛てに決済完了を知らせるテキストメッセージが送信されてくることが一般的です。
口座が開設されると、デビットカード、初期PINコード、インターネットバンキング用トークン(ワンタイム・パスワードの表示端末)が別々の郵便で送られてきます。アプリまたはインターネットバンキング上でデビットカードを有効化することにより、利用可能となります。PINコードは銀行側が設定したものを、自分の覚えやすい番号に変更してください。この番号は決してカードの裏面に書いたりせず、必ず覚えてください。
一つの口座に対して2枚以上のデビットカードを持つことも可能ですが、追加一枚毎に月間2ユーロ前後の利用料が生じることが一般的です。
iDEAL
オンラインショッピングの決済手段の一つとして、iDEALという選択肢がしばしば示されます。iDEALは実質的にデビットカードをオンライン上で使うことを可能とするもので、オランダで広く普及しています。
iDEALを選択すると、次に口座を有する銀行を選ぶよう促され、選ぶと画面が銀行のサイトに切り替わります。そこでインターネットバンキング用トークンもしくは銀行アプリによる暗証番号入力と支払承認をすることで、決済が完了します。iDEALそのものをアプリ等でインストールしたり口座情報等を登録する必要はありません。
クレジットカード
ほとんどの銀行でクレジットカードを発行しています。前述したING銀行、ABN-AMRO銀行ともにMaster Cardを扱っています。デビットカードとは別のカードになります。オランダでは日常生活でクレジットカードを使うことは少ないですが、飛行機の予約・支払いや、ホテルの予約、オンラインショッピングなどでは必要の場合があります。
モバイル決済
Google Pay、Apple Payなどのアプリにより、スマートフォン端末をデビットカードのようにかざしてタッチ決済をすることもオランダでは広く普及しています。オランダ内の主要な公共交通機関の運賃支払い、改札のチェックイン・アウトに使えるアプリも登場しています(「第6章 交通」参照)。
カードの紛失・盗難
デビットカードが盗難にあったり紛失した場合は、ただちに自分の口座のある銀行に通知します。または、Bankpassen Meldcentrale(Bank card reporting center)の緊急電話番号(0800-0313、24時間、無料。外国からは+31-88-385-5372)に連絡します。すると、その時点でカードをブロックしてくれます。盗難の場合にはその旨、警察に届け出て、証明書を作成してもらい、それを銀行に提出します。迅速にきちんと処理をすれば、万一ブロックする前にカードを使われてしまった場合でも、例えばすぐ分かるところにピンコードが書いてあったなど、無くした側に大きな落ち度がない限り、一定のオウンリスク分を除いて後は銀行が負担してくれます。
クレジットカードの盗難・紛失の場合の通知は、カード会社により別の電話番号です。カードの裏にサービスデスク電話番号が記されていますので、メモをしておいてください。