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December 2, 2023

11-2. 個人所得税の制度

個人所得税の制度 

  • 居住者と非居住者
  • オランダの税制は居住者と非居住者を区別しています。オランダに居住地があるかの判断は、状況や事実関係を総合的に勘案して判断されます。オランダの税務上の居住者とみなされるためには、個人はオランダと十分な永続的・継続的なつながりを持っていることが必要となります。判例によれば、オランダとの永続的なつながりはすぐに存在するものと認定される可能性があります。このようなオランダとの永続的なつながりがあるかどうかの判断に際しては、すべての関連する事実を考慮する必要があります。一般的には、オランダでの滞在の状況と期間、家族の帯同の有無等がオランダでの税務上の居住者の判断に大きな影響を与えます。
  • オランダの税務上の居住者は、全世界所得(他国での貯蓄や投資から生じる所得を含む)に対してオランダで課税されます。税額控除(例えば、扶養手当の支払い、主たる住居に関して支払った住宅ローンの利子等)を適用することもできます。
  • オランダの税務上の非居住者は、オランダの国内源泉所得に対してのみオランダで課税され、一般的な税額控除は制限されます。

 

  • 課税の概要
  • オランダの個人所得税は、以下の3つのボックスに区分されます。
  • Box 1:雇用所得、事業所得および主たる住居からの所得に対する課税
  • Box 2:実質的株式所有から生じる所得に対する課税
  • Box 3:貯蓄および投資から生じる所得に対する課税

 

  • Box 1:雇用所得、事業所得および主たる住居からの所得に対する課税

Box 1の所得は累進税率で課税されます。累進税率は以下の通りです(2026年時点)。

区分I:0ユーロから38,883ユーロまでの所得に対しては35.75%の税率が課されます。
区分II:38,883ユーロから78,426ユーロまでの所得には37.56%の税率が課されます。
区分III:78,426ユーロを超える所得には49.50%の税率が課されます。

※上記区分IIおよびIIIに社会保険料は課されません。

  • Box 2 – 実質的株式所有から生じる所得に対する課税

Box 2の所得は累進税率で課税されます(2026年時点)。

区分I:0ユーロから68,843ユーロまでの所得に対しては24.5%の税率が課されます。
区分II:68,843ユーロを超える所得には31%の税率が課されます。

本人またはパートナーと合わせて、直接または間接的に以下のいずれかに該当する場合は、実質的株式(持分)を保有しているとみなされます。

発行済株式の5%以上を保有している場合
株式の5%以上を取得できる新株予約権(オプション)を保有している場合
年間利益の5%以上または清算分配金を受け取ることのできる利益分配証書を保有している場合
議決権の5%以上を保有している場合

会社が異なる種類の株式を発行している場合は、納税者本人またはパートナーと合わせて、直接または間接的に特定の種類の発行済株式の5%以上、またはその種類の株式の5%以上を取得する権利を保有している場合にも、実質的株式の保有者とみなされます。

非居住者は、オランダに所在する会社における実質的株式から生じる所得がある場合にのみ、当該所得に対して課税されます。

  • Box 3 – 貯蓄および投資に対する課税

貯蓄および投資から生じる所得は36%の税率で課税されます(2026年時点)。貯蓄および投資とは、例えば銀行口座の預貯金、株式(1社における株式保有割合が5%未満)、不動産(主たる住居を除く)等です。

Box 3では、異なる種類の資産ごとにみなし所得に対して課税されます。資産の種類は、銀行預金、その他の資産(株式・不動産など)および借入です。オランダ税法上、個人の預貯金や投資等には以下のみなし所得が生じているとみなされます(2026年時点の暫定値)。

  • 銀行預金:1.28%
  • その他の資産(株式・不動産等):6.00%
  • 借入:2.70%(上記の資産に係るみなし所得から控除します)

その年度の1月1日時点の資産の価値に対して上記のみなし所得率を乗じます。

なお、Box 3におけるみなし所得に基づく課税については、裁判でも議論されています。現在もみなし所得課税の適否について法的議論が続いており、制度は過渡的なものとされています。また、オランダ政府は今後、実際の所得(配当、利子、譲渡益等)に基づく課税制度へ移行することを予定しており、現時点では2027年以降の導入が検討されています。

非居住者は、オランダ国内源泉所得と判断される貯蓄および投資(例えばオランダに所在する不動産等)のみが課税対象となります。オランダの銀行口座は一般的にオランダ国内源泉所得とはみなされません。

  • 個人所得税に関する手続き

毎年、オランダの個人所得税の申告受付は3月1日に開始されます。オランダの居住者および非居住者である納税者は、税務当局(Belastingdienst)から申告案内(書面またはデジタル)を受け取るか、必要に応じて自主的に申告を行います。

オランダの確定申告はオンラインで行うことができ、申告には納税者のデジタル認証IDであるDigiDが必要です。

確定申告書は原則として翌年の5月1日までに提出しなければなりません(例:2025年所得は2026年5月1日まで)。なお、期限内に申請すれば通常9月1日までの延長が認められます。

期限までに申告しない場合、罰金や利息(税務利息)が課される可能性があります。

申告書の提出後、オランダ税務当局は申告内容に基づき税額を査定し、納税額または還付額を決定します。一般的に申告後一定期間内(通常は数か月〜1年程度)に査定が行われますが、法律上は税務当局は原則として申告後最長3年間にわたり最終査定を行うことができます。

納税者は、見込所得に基づく予備査定(voorlopige aanslag)の発行を申請することができます。この予備査定は、当該年度中に税額を前払いまたは分割で調整するためのものであり、最終査定時の大きな支払いを回避する目的があります。また、税務当局が職権で予備査定を発行する場合もあります。

納税者が最終査定書の内容に同意しない場合は、査定書の発行日から6週間以内に異議申立てを行うことができます。

December 2, 2023